あおいのKindle出版アカデミー本棚を育てる経営教材

第2章

Marketing:市場の波を捉える

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第2章の図版1

2-1. AIをうまく使いたいなら、マネジメントを学べ

章タイトルは「Marketing」、でも最初の話は「Management」から

ここから第2章に入ります。

サブタイトルにある通り、本論はMarketing。

マーケティング、市場の話です。

ただ、本論に入る前に、1つだけ章の冒頭で渡しておきたいことがあります。

それが、AIマネジメントの話です。

章タイトルはMarketingですが、最初にManagementを置く理由があります。

市場を見るにも、企画を立てるにも、リサーチするにも、AIをどう動かすかが土台になるからです。

AIへの指示が曖昧なままでは、マーケティング部も、商品企画部も、調査部も機能しません。

だから第2章の冒頭で、まずAIマネジメントの型を渡しておきます。

AIを「便利な検索エンジン」として扱う人と、「メンバー」として扱う人の差

AI活用の話を聞くと、多くの方は「とりあえずAIに聞けば、それなりにいい回答が返ってくる」というイメージを持っているように思います。

それ自体は、間違っていません。

Claudeにせよ、ChatGPTにせよ、何か聞けば、それなりの答えは返ってきます。

ただ、ここで止まると、AIは「便利な検索エンジン」止まりになります。

私が考える、AI活用の本質はこうです。

AIは、便利な検索エンジンではなく、自分の編集部のメンバーです。

新人のメンバーに仕事を任せる時のことを、思い出してみてください。

「これやっておいて」と一言で済ませて、思い通りのアウトプットを返してくれる新人、どれくらいの確率で出現しますか?

めちゃくちゃ優秀な新人なら、可能かもしれません。

でも、そういう新人と一緒に仕事をする機会は、そう多くないですよね。

たいていの場合、新人にちゃんと仕事を任せるなら、まず目的を伝えて、判断基準を渡して、出てきた答えを評価して、違う方向に行きそうならフィードバックを返して、最終的に「これでOK」と意思決定する。

このプロセスは、AIにそのまま使えます。

第2章の図版2

マネジメントの5つの型(管理職時代に学んだこと)

少し私の話をさせてください。

会社員として管理職をしていた時期、新人や中堅メンバーを抱えて、仕事を任せる立場でした。

そこで身につけた、マネジメントの基本5型があります。

1. 任せる前に、目的を伝える

2. 判断基準を渡す

3. 出てきた答えを評価する

4. フィードバックを返す(同時に、前提を確認する)

5. 最後は、自分が意思決定する

これ、書き出してみると当たり前のことばかりです。

でも、現場でこの基礎的なマネジメントを毎回全部きちんとできている人は、意外と少ないんです。

私自身、何度もこの5つのどこかで手を抜いて、メンバーが迷子になる場面を見てきました。

(もちろん、現実の管理職が毎回ここまで丁寧に対応するのは簡単ではありません。
私自身、その難しさもよく分かります。)

そして、この5つは、そのままAIに対しても使えます。

5つすべてを細かく開くと、それだけで1章分になります。

ここでは、第2章以降を読むうえで特に重要な1番、4番、5番を中心に扱います。

第2章の図版3

1. 任せる前に、目的を伝える

これは、AI活用でいちばん見落とされがちなところです。

「Kindleで売れるテーマを5個考えて」とだけ投げる人と、こう投げる人の差を考えてみてください。

「私はKindle出版でAI関連の本を中心に出していて、月50万円の本棚を目指している。

次に企画する本は『中堅群』のポジションを取らせたい。

だから、いまXで盛り上がっているテーマの中から、長期で読まれそうなものを5個提案してほしい。」

この2人が受け取るアウトプットは、別物です。

新人に仕事を任せる時、「とりあえずやっといて」だけで動ける人はまずいません。

背景・目的・自分が求めているアウトプットのイメージを伝えてから、任せます。

AIも同じです。

第2章の図版4

4. フィードバックを返す(同時に、前提を確認する)

これは、AIマネジメントの中で、いちばん深いところです。

AIから返ってきたアウトプットに対して、「ここはいい」「ここは違う」とフィードバックを返す。

これは、新人へのフィードバックと、構造は同じです。

ただ、AI相手に、もう1つ大事な動きがあります。

それが、「前提を確認する」ことです。

具体的には、こういう問いを返します。

「今、どういう認識で動いてる?」

「なぜ、その判断をしたの?」

(新人へのフィードバックでも大事かもしれないですね)

これを聞くと、AIが回答の前提として何を置いていたかが見えてきます。

そして、その前提が、こちらの意図と微妙にズレていることが、けっこうな確率であります。

私自身の例で言うと、たとえば今、Brain用の原稿をClaudeに書いてもらっていた時に、Kindle出版の文体ルール(箇条書きを避ける、スマホ前提のリズム)が、Brainの原稿に持ち込まれていたことがありました。

Brainは販売ページ+本文の構造で、PDFで読まれるので、Kindleとは前提が違うのに、AIはKindleのルールを引きずっていた。

このズレは、出力結果だけを見ていても、気づきにくいんです。

だから、「今、どういう認識で動いてる?」「なぜ、この箇条書きを避けたの?」と前提を聞くことで、初めて見えてきます。

前提を確認する作業は、フィードバックと同じくらい大事です。

そして、この前提確認の積み重ねが、メモリやスキルとして、AIの中に蓄積されていきます。

「教育教材の原稿では箇条書きを使う」「Kindleの原稿ではリズムを優先する」というルールを、議論を通じて教えていく。

これは、新人を育てる作業に似ています。

違うのは、AIは何度同じ説明をしても疲れないところ。

だから、こちらが粘り強く前提を確認する習慣を持てば、メンバーとしての精度は、確実に上がっていきます。

第2章の図版5

5. 最後は、自分が意思決定する

これも大事です。

AIから返ってきた答えを、そのまま受け入れて、自分の名前で世に出す。

これは、メンバーの提案を、上司の判断なしに自動承認するのと同じ構造です。

AIは、提案者です。

決定権を持つのは、編集長としてのあなたです。

「Claudeがこう言ったから」を、自分の決定の理由にしない。

最後に「採用するか、しないか」を決めるのは、自分。

この線を曖昧にすると、本棚の責任が誰にあるのか、分からなくなります。

読者は、私の名前で本を買います。

Claudeの名前で買うわけではありません。

だから、最終決定は、自分が下す。

残り2型は、輪郭だけ押さえる

2番(判断基準を渡す)、3番(評価する)も大事ですが、ここでは概要だけ。

判断基準を渡すというのは、「いいアウトプットの条件」をAIに先に伝えること。

「読者にとってのベネフィットが明確であること」「前作のBrainで扱った内容と重複しないこと」のように、評価軸を渡してから出力を求めます。

評価するというのは、出てきたアウトプットを、最初に渡した判断基準と照らして、「ここは基準を満たしている」「ここは満たしていない」と切り分けること。

フィードバックを返す手前の作業です。

これらの実例は、第5章のValue Propositionや、特典③の実録会話ログで開きます。

本節では、5型の輪郭だけ押さえておきます。

第2章の図版6

なぜ、この章の冒頭でマネジメントを置くのか

最後に1つだけ。

このマネジメントの5型は、本編全体の前提です。

第2章のマーケティング部だけでなく、第3章の商品企画部、第4章の調査部、第5章の価値設計部、第6章の執筆部、すべてのメンバーに対して、この5型で接します。

だから、章タイトルが「Marketing」でも、最初に「Management」を置きました。

この5型があると、各部署のメンバーを動かすための土台ができます。

あとは、部署ごとの専門知識を入れていけば、AIはかなり実務に近い形で動き始めます。

マネジメントの基本姿勢は、全部署共通だからです。

それでは、ここから本論のMarketingに入ります。

ただし、ここでのマーケティングは、AIに「売れそうなテーマを教えて」と聞く話ではありません。

編集長として、AIに市場を観察してもらい、その結果を自分で判断する話です。

まずは、その判断の前提になる「トレンドと市場の違い」から整理していきます。

第2章の図版7

2-2. トレンドと市場は、別物である

前作のBrainで扱った話の、上位視点を渡します

前作のBrain『25万円の印税が毎月口座に振り込まれる方法を全部書きました』の第2章で、「Xで盛り上がっているからといって、Kindleで読まれるとは限らない」という話に、少し触れました。

本編では、その話の上位視点を渡します。

それが、トレンドと市場は、時間軸が違う、ということです。

トレンドは「熱」、市場は「構造」

トレンドというのは、いま盛り上がっている熱です。

Xで誰かが新しいAIツールを使ってみたという投稿が伸びる。

それを見て、別の人が試して投稿する。

さらに広がる。

これがトレンドの姿です。

時間軸は、短い。

今日盛り上がったテーマが、明日には別の話に変わっていることもあります。

市場というのは、ずっとそこにある構造です。

「英語を学びたい」という需要は、10年前にも、いまも、10年後にもあるはずです。

「AIを使ってみたい」という需要も、ここ数年で構造として定着してきました。

時間軸は、長い。

数年単位、ものによっては数十年単位で続きます。

トレンドは熱、市場は構造。

この2つは、別物です。

第2章の図版8

同じ「AIの話」でも、媒体ごとに読者の温度が違う

ここからが大事です。

同じ「AIの話」でも、媒体ごとに読者の温度や、読まれ方の構造が違います。

Xでの情報は、リアルタイムで動くことが多い。

今日盛り上がったテーマが、明日には別の話に変わっていることも珍しくない。

読者の温度はいちばん熱いですが、流動性も高い。

YouTubeでの情報は、もう少しゆっくり広がります。

投稿された動画が、検索やレコメンドで継続的に視聴され続けることもある。

テーマ設定が良ければ、寿命の長い動画もあります。

Brainでの情報は、購入する人が限られるぶん、リリース直後のピークが大きく、そこから少しずつロングテールに移行していきます。

Kindleでの情報は、検索ベースで継続的に読まれる構造です。

Amazon内検索でテーマと一致すれば、出版から時間が経っても読まれ続けることがあります。

つまり、媒体ごとに、読者の温度・検索行動・購入理由・出会い方が違う、ということです。

Xで「Claude Code」と検索する人は、いま最新情報を追いかけている人。

Kindleで「Claude Code」と検索する人は、これから腰を据えて学びたい人。

同じキーワードでも、媒体が違うと、読者の温度が違う。

求めているものも違う。

第2章の図版9

Kindleは、他媒体で気づいた読者の「受け皿」になる

Kindle出版の面白いところをお伝えします。

Kindleは、他媒体でそのテーマを知った読者の「受け皿」になりやすい場所です。

Xで知ったけれど、流れてしまった。

YouTubeで概要を見たけれど、あとで体系的に学びたくなった。

Brainで実践ノウハウに触れたけれど、関連テーマをもう少し広く知りたくなった。

そういう読者が、Amazonの検索窓に言葉を入れることがあります。

つまり、Kindleは、どの媒体の波で気づいた読者でも、最終的に受け止められる可能性がある媒体です。

第2章の図版10

Kindle市場は、「検索される悩み」でできている

ここで、Kindle市場を見るうえで、私が特に意識していることをお伝えします。

それが、「検索される悩み」です。

Xで盛り上がっている言葉が、そのままKindleで検索されるとは限りません。

Kindleでは、読者が自分の悩みを解決するために、検索窓へ言葉を入れます。

だから、トレンドの言葉を、そのまま本にするのではなく、Kindle読者が検索する悩みの言葉に言い換える必要があります。

「Xでバズっているテーマ」と「Kindleで検索される悩み」の間には、いつも一段の言い換え作業が必要です。

この言い換えの精度が、本棚の組成を左右します。

第2章の図版11

時間軸を加えると、本棚の組成が変わる

本編と前作のBrainの差分を、ここで整理します。

前作のBrainで扱ったのは、「どの市場を選ぶか」でした。

1冊の本を書く時に、市場の大きさ、人口構造、ニッチか王道か、こうした軸を踏まえて、参入する市場を見極める。

これは、1冊単位の判断です。

本編で扱うのは、「どの市場の波に、いつ乗るか・いつ降りるか」です。

複数冊で本棚を組む時、市場の大きさだけでは、判断材料が足りません。

ある市場が、いまトレンドの波に乗っているのか。

これから構造として定着するのか。

すでに飽和してロングテールに入っているのか。

時間軸を加えると、こうした問いが見えてきます。

1冊単位の判断軸と、本棚単位の判断軸は、別物です。

編集長として、波のタイミングを読む

時間軸が加わると、編集長の仕事が1つ増えます。

たとえば、新しいAIツールがXで一気に話題になったとします。

Xでは「新機能すごい」「試してみた」という投稿が伸びます。

YouTubeでは、数日遅れて使い方の解説動画が増えます。

Brainでは、実践者向けのノウハウ商品が出てきます。

Kindleでは、その少し後に「入門」「使い方」「仕事活用」のような検索される言葉に変換された本が読まれやすくなります。

この時間差を読みながら、「いま、Xで盛り上がっているテーマがあるな」と気づいた時。

その波が、Kindleに到達するまでの時間を読みます。

早すぎても、外しやすくなります。

Xでは熱いけれど、Kindleの読者層がまだそのテーマを検索する段階に来ていない。

この状態で本を出すと、そもそも検索されないことがあります。

遅すぎても、外しやすくなります。

Kindleで類書が出揃ったあとに参入すると、後発の不利を抱えます。

ちょうどいいタイミングで、打席に立つ。

これが、編集長としての判断です。

波のタイミングを読むには、媒体ごとの時間軸を理解しておく必要があります。

Xでの熱が、いつ頃Kindleに到達するのか。

YouTubeでの解説動画が増え始めたら、Kindleでの参入はもう少しで遅くなるのか。

Brainで他の作家がそのテーマを書き始めたら、後発になるのか。

このタイミングの読み方は、第2章後半の節で詳しく扱います。

ここで押さえておきたいのは、この前提だけです。

トレンドと市場は、別物。

トレンドは熱、市場は構造。

Kindle市場は、検索される悩みでできている。

時間軸を加えると、本棚の組成が変わる。

次の節では、この前提を踏まえて、本の3分類を見ていきます。

波に乗る本、長く読まれる本、ブランドを作る本、という3つの役割の話です。

2-3. 波に乗る本/長く読まれる本/ブランドを作る本

書いた本がどの売上層に収まるか

ここから、本棚を組むときに編集長として意識する「役割の3分類」を渡します。

その前に1つだけ前提の認識を揃えましょう。

これから扱う3分類は、第1章1-3節で説明した「主力群/中堅群/ロングテール群/KDPセレクトボーナス」の4層分類とは、別の軸の話です。

4層分類は、書いた後に売上規模で見た結果の話。

主力群になるか、中堅群になるか、ロングテール群に落ち着くかは、出版してみないと分かりません。

これから扱う3分類は、書く前に編集長として意識する役割の話。

「この本を、どういう役割で本棚に置きたいか」を、書く前に決められます。

書いた後の結果(4層)は、コントロールしきれない。

でも、書く前の役割(3分類)は、編集長として選べます。

ここを混同すると、「主力群を狙って書く」という不可能なことを目指してしまうので、最初に明確に切り分けておきます。

第2章の図版12

波に乗る本:新技術系で、初速を取りに行く

1つ目の役割が、「波に乗る本」です。

新しい技術がリリースされたり、新しいテーマがXで盛り上がったりした時に、その波の初速を取りに行く本。

寿命は短めですが、出版直後の数週間〜数ヶ月で、月数万円〜十数万円の印税を作れる可能性があります。

教科書系・解説系の本が、ここに入ります。

私の場合で言うと、Claude Codeの新機能がリリースされた時、NotebookLMが日本で広がり始めた時、ChatGPT画像生成の大型アップデートが出てきた時、それぞれに合わせて本を出してきました。

波に乗る本の特徴は、こうです。

・市場で「いま、その情報を知りたい」という熱が立ち上がっている

・解説する側がまだ少ない(早ければ早いほど、後発の不利を抱えない)

・読者の検索行動が、リリース直後から起きる

このタイプの本は、波が引いた後の寿命は短くなりがちです。

でも、書く前から「これは半年〜1年で読まれ方が落ちる本」と分かって書くなら、それで構いません。

波に乗る本の役割は、「いまこの瞬間の市場に応える」ことだからです。

もちろん、波に乗る本を書いたからといって、必ず初速が出るわけではありません。

早く出しても、検索される言葉に言い換えられていなければ、読まれません。

波に乗る本で狙うのは、短期の熱に飛びつくことではなく、短期の熱をKindle読者の悩みの言葉に言い換えることです。

2-2節で扱った「Kindle市場は検索される悩み」が、ここでも前提になります。

第2章の図版13

長く読まれる本:普遍テーマで、検索に長く拾われる

2つ目の役割が、「長く読まれる本」です。

寿命の長い、普遍テーマを扱う本。

爆発力は波に乗る本ほどではありませんが、出版から半年・1年・2年と時間が経っても、Amazon内検索で継続的に読まれます。

入門書・基礎テーマがここに入ります。

「ChatGPT入門」「英語学習」「note運用」のように、新しい読者が毎月発生し続けるテーマです。

長く読まれる本の特徴は、こうです。

・市場が時間軸で長く存在する(数年単位で需要が消えない)

・読者層が毎月入れ替わる(同じ悩みを持つ人が、毎月新たに検索する)

・出版直後の爆発力は控えめでも、月単位で安定した印税が積み上がる

このタイプの本は、本棚の「土台」になります。

波に乗る本だけだと、出版直後の数ヶ月は強くても、1年・2年と時間軸が伸びるにつれて、本棚全体の印税が痩せていきます。

長く読まれる本が複数並ぶことで、その痩せ方を支えてくれる底ができます。

ただし、長く読まれる本も、放置していいわけではありません。

テーマの需要は長く続いても、ツールの画面、事例、読者の前提知識は変わっていきます。

長く読まれる本ほど、定期的に手入れする価値があります。

第2章の図版14

ブランドを作る本:思想・体験で、自分のブランドを深める

3つ目の役割が、「ブランドを作る本」です。

直接的な売上目的というより、「私という著者は何者か」を読者に伝える役割の本。

私の場合は、「私の話系」がここに入ります。

「6ヶ月でFIREできた話」「5ヶ月で月15万印税を作った話」のように、私自身の体験を軸にした本です。

ブランドを作る本の特徴は、こうです。

・直接の売上目的というより、本棚全体の信頼度を上げる役割

・私の世界観・思想・人柄を、読者に深く伝える

・他の波に乗る本/長く読まれる本にも、間接的に売上効果が及ぶ

このタイプの本は、単体で見ると数字としての貢献度は中くらいです。

でも、ブランドを作る本がない著者の本棚は、「ノウハウだけ並んでいる」状態に見えてしまう。

読者が「この著者を応援したい」と思うのは、ブランドを作る本を読んだ後が多い、というのが私の体感です。

そして、ブランドを作る本は、著者を知ってもらうためだけの本ではありません。

読者に「この人も試行錯誤しながら進んできたんだ」「自分にもできるかもしれない」と思ってもらう本でもあります。

ノウハウではなく、行動する理由を渡す本、と言ってもいいです。

第2章の図版15

3つ混ぜるから、本棚として安定する

ここまで3つの役割を見てきました。

大事なのは、本棚の構成として3つを混ぜることです。

波に乗る本だけを並べると、出版直後の数ヶ月は強くても、1年・2年と時間軸が伸びた時に、本棚全体が痩せていきます。

新技術が次々出てくれば追いつけますが、本棚全体が短命のものだけになっていく構造です。

長く読まれる本だけを並べると、爆発力がなくて、月数千円〜数万円の本が並ぶだけになります。

月の印税の底は安定しますが、ジャンプアップが起きにくい。

ブランドを作る本だけを並べると、収益が立ちにくい。

著者としての世界観は伝わるかもしれませんが、月の印税としては成り立ちにくいです。

3つを混ぜることで、それぞれの弱点が補完されます。

・波に乗る本が、月の印税に爆発を作る

・長く読まれる本が、月の印税の底を支える

・ブランドを作る本が、本棚全体の信頼度を底上げする

これが、3分類で本棚を組む、ということです。

第2章の図版16

配分には、正解の比率はない

「3つを混ぜる」と言うと、「では、どの比率で書けばいいですか」と聞きたくなるかもしれません。

ただ、ここに正解の比率はありません。

月によっても、自分の本棚の状態によっても変わります。

本棚の土台が弱いなら、長く読まれる本を厚くする。

認知を広げたいなら、波に乗る本を出す。

著者としての軸が見えにくくなっているなら、ブランドを作る本を入れる。

比率を固定するのではなく、いまの本棚に足りない役割を見て、次の1冊を決めます。

これも、編集長の判断です。

書く前の役割と、書いた後の結果は別軸

3分類と4層の関係を、もう一度整理します。

3分類で書く前に役割を決めても、その本が4層(主力群/中堅群/ロングテール群/KDPセレクトボーナス)のどこに収まるかは、市場とタイミング次第です。

「波に乗る本」のつもりで書いたら、たまたまマジョリティ層に深く刺さって中堅群になることもある。

「中堅本」のつもりで書いたら、想定より読者層が狭くてロングテール群に落ち着くこともある。

「ブランドを作る本」のつもりで書いたら、共感する読者が想定より多くて主力群になることもある。

書く前の役割と、書いた後の結果を混ぜると、「主力群になる本を書こう」という、コントロールできないものを追いかけることになります。

編集長として決められるのは、書く前の「想定される役割」です。

この本は、波に乗る本なのか。

長く読まれる本なのか。

ブランドを作る本なのか。

そこを決めてから、書く。

そして、出版後に主力群・中堅群・ロングテール群のどこに収まったかを見て、次の判断に活かす。

この往復が、本棚を運営するということです。

書いた後の結果がコントロールしきれないからといって、書く前に何も狙わない理由にはなりません。

書く前に役割をきちんと意識して書けば、実際にその役割の通りに落ち着くことも多いです。

選べる側はきちんと選び切る。

選べない側(結果)は、出してからの動きに合わせて対応する。

これが、編集長としての姿勢です。

次の節では、この3分類を、私の実際の本棚に当てはめてマッピングしてみます。

第2章の図版17

2-4. 私の実ポートフォリオを、3分類でマッピングする

葵の本棚を、3分類でマッピングする

波・長く読まれる・ブランドの3つに、私の25冊を分けて見ていきます。

数字は出しません。

タイトル別の月別売上の生データは、レビュー特典②で開示しています。

本節で見ていただきたいのは、私が編集長としてどう本棚を整理しているか、というロジックの部分です。

2026年5月時点で、私の本棚には黒川葵名義の本が25冊あります。

なお、レビュー特典②では、2026年4月時点までの22冊分の月別推移を公開しています。

本節では、その後に増えた本も含めて、本棚全体を3分類で見ていきます。

3分類でざっくり分けると、こうなります。

それぞれの群を、もう少し開いていきます。

波に乗る本群:教科書系

最初の群が、「波に乗る本」として書いてきた教科書系です。

具体的には、こんな本があります。

・ClaudeCodeの教科書

・NotebookLMの教科書

・Coworkの教科書

・nano banana proの本

・ChatGPT Imagesの本

これらは、新しいAIツールや新機能がリリースされた時に、波の初速を取りに行ったジャンルです。

このジャンルの本を書くときは、「半年〜1年で読まれ方が落ちる可能性がある」と分かった上で書いています。

だから、書くスピードが何より大事になる。

1冊に2ヶ月かけていたら、波が引いてしまいます。

このジャンルの本が、月の印税に爆発を作る役割を担っています。

第2章の図版18

長く読まれる本群:入門系・実用系

2つ目の群が、「長く読まれる本」として書いてきた入門系・実用系です。

具体的には、こんな本があります。

・ChatGPT入門系(入門書、月3万円、TOEIC、独学英語)

・noteシリーズ(noteを始めよう、note副業)

・画像生成入門

・Obsidianの本

これらは、市場が時間軸で長く存在するテーマです。

「ChatGPTを使いたい」「note収益化したい」「英語を学びたい」という需要は、新しい読者が毎月発生し続けます。

このジャンルの本を書くときは、爆発力ではなく「半年・1年・2年読まれ続けること」を目指します。

Amazon内検索でずっと拾われ続けるテーマ設定と、検索される悩みの言葉(2-2節で扱ったやつです)に丁寧に向き合います。

このジャンルが、月の印税の底を支える役割を担っています。

ただ、1つだけ補足です。

Obsidianの本は、出した直後から伸びた本ではありません。

「長く読まれる本」として狙って出したものの、出版直後は、正直、数字が動きませんでした。

テーマは普遍寄りでも、Kindle読者がどんな言葉で検索するかと、最初は少しズレていたのだと思います。

ところが、数ヶ月かけて、じわじわと読まれ始めました。

長く読まれる本は、波に乗る本のように初速が出るわけではなく、時間をかけて読者にたどり着くことがあります。

出してすぐの数字だけで、本の価値を決めなくてよかったな、と今は思っています。

第2章の図版19

ブランドを作る本群:私の話系

3つ目の群が、「ブランドを作る本」として書いてきた私の話系です。

具体的には、こんな本があります。

・Kindle出版始めたら6ヶ月でFIREできた私の話

・Kindle出版 5ヶ月で月15万の印税を作った方法

・Kindle出版始めたら書く副業だけで1年で年収500万増えた私の話

これらは、私という著者が何者か、何を考えて、どう動いてきたか、を読者に伝える役割の本です。

このジャンルの本は、私のスマートFIRE思想や、副業の民主化への想いを、物語の形で読者に届けます。

直接の売上だけで見ると、教科書系より控えめです。

でも、このジャンルの本を読んでくれた読者が、他の教科書系・入門系の本もまとめて買ってくれることが多い、というのが私の体感です。

つまり、ブランドを作る本群は、単体ではなく「本棚全体の信頼度を上げる」役割を担っています。

第2章の図版20

3分類のどこにも、完全には収まらないジャンルもある

ここで、私の本棚にあるもう一つの群について、お伝えします。

それが、占い系です。

私は過去に、占い系の本を3冊出しています。

最初は「波に乗る本」として出すつもりでした。

「ChatGPTで占い師になろう」「数秘術占い師になろう」のように、AI×占いというテーマで、波の初速を取りに行く想定でした。

ただ、書いてみて、想定とは違う収まり方をしました。

理由はいくつかあります。

1つは、3冊目以降で「新しい価値を書くイメージ」が湧かなくなったこと。

占いのテーマは枝分かれしますが、その枝の先で、結局「ココナラでどう売るか」というナレッジに収束してしまう。

シリーズ化で出し続けるのが、私には難しかったんです。

もう1つは、AI系・Kindle出版系・思想系の3ジャンルは、お互いに相互補完関係にあって、執筆の習熟も他ジャンルに転用できるのに対して、占い系だけは収まりが悪かったこと。

学習効率が、他ジャンルほど高くありません。

そして、もう1つ大事な理由があります。

占い系を続けると、私という著者のブランディングが「濁る」と感じたことです。

AI×Kindle出版×学習×思想という軸の中に、占い師という顔が混ざると、読者から見て「この著者は何の専門家なのか」が見えにくくなる。

これらを踏まえて、占い系は、主力ジャンルとして伸ばしにいく優先順位を下げました。

完全に二度と触らない、という意味ではありません(あと1冊くらいは、実験的に出すかもしれません)。

ただ、AI×Kindle出版×スマートFIREという今の本棚の軸から見ると、占い系は少し外側にあります。

だから、編集長としては「撤退寄りのジャンル」として扱っています。

撤退とは、過去に出した本を否定することではありません。

そのジャンルに、これ以上大きなリソースを張らないと決めることです。

実際、占い系の3冊が無駄だったとは思っていません。

今でも合わせてロングテールに寄与してくれていますし、書いた経験から学んだこと(マーケット選定の難しさ、シリーズ化の限界判断)は他ジャンルにも効いています。

本節で押さえておきたいのは、「3分類でマッピングしてみると、どこにも完全には収まらないジャンルが見えてくることもある」という編集長の視点です。

第2章の図版21

編集長として、本棚全体を読み解く

3分類でマッピングしてみると、いろいろなことが見えてきます。

・波に乗る本群が、今いくつあるか

・長く読まれる本群が、土台として何冊揃っているか

・ブランドを作る本群が、本棚の信頼度を支えているか

・撤退を検討すべきジャンルが、混ざっていないか

この見え方が、「次の1冊を、本棚のどこに置くか」の判断材料になります。

たとえば、波に乗る本群が少なすぎる月は、次の新技術や業界ニュースのリリースを待って、初速を取りに行く本を増やす。

長く読まれる本群が足りない月は、普遍テーマで1冊書く。

ブランドを作る本群が弱い月は、自分の体験を軸にした本を書く。

このマッピングを、月次決算会議(第1章1-5節で扱った会議体です)で、定期的に見直していきます。

ここで、読者の方にも、ぜひ自分の本棚を一度この3分類で並べてみてほしいです。

まだ3冊しかなくても、大丈夫です。

むしろ冊数が少ないうちに、「これは波に乗る本なのか」「長く読まれる本なのか」「ブランドを作る本なのか」を考える癖をつけておくと、次の1冊の判断が変わります。

「これから1冊目を出す」という方も、同じです。

書く前に役割を決めてから書くと、書いた後の見え方が変わります。

そして、次の節からは、このマッピングを支える具体的な編集長業務に入っていきます。

情報の伝播速度を読む(2-5節)、書くか書かないかをMTIVで判断する(2-6節)、マーケ部Claudeプロジェクトで判断材料を整理する(2-7節)、という流れです。

2-5. プラットフォームの「構造差」を使って、波のタイミングを読む

波のタイミングは、自動収集では取れない

2-2節で、編集長として「波のタイミングを読む」ことが、月50万円の本棚を組むのに大事だと書きました。

ここでは、その「波のタイミングを読む」を、私が実際にどう見ているかを開きます。

この節でお伝えしたいのは、便利な情報収集術ではありません。

公開情報の中から、市場の熱がKindle読者の悩みに変わる瞬間を見つけるための、編集長の観察方法です。

実を言うと、私も最初は「定期的に記事やリリースを自動収集する仕組み」を作ったことがあります。

RSSフィードを集めたり、ニュースアグリゲーターを使ったり、AIに毎朝サマリーを作ってもらう仕組みを試したり。

でも、続きませんでした。

理由はシンプルで、自動収集だけでは「モメンタム」が取り切れないからです。

XやYouTube、noteで何かが盛り上がっている時、そこには「熱の質感」があります。

投稿数の伸び方、リプライの濃度、引用RTの反応速度、コメント欄の熱量。

これは、自動収集された記事の見出しを並べても、見えてきません。

だから、編集長として波のタイミングを読むには、SNSを自分の目で覗く時間を残しておく必要がある、というのが私の持論です。

第2章の図版22

私が普段やっている、シンプルな2ステップ

私のマーケ部の運用は、シンプルです。

ステップ1:調査部のClaudeに、こう依頼します。

まず調査部のClaudeに、Web検索で確認できる範囲から、AI活用の発信者候補を出してもらいます。

ただし、Xのリアルタイムな熱量そのものは、Claudeだけでは取り切れません。

そのため、候補リストを作ったあとは、自分でXを開いて、投稿頻度、反応の濃さ、引用のされ方を確認します。

このとき、調査部のClaudeには「Web検索を必ず通す」「直近3ヶ月以内の情報に絞る」「ソースリンクを必ず添える」というスキルを入れてあります。

これがないと、Claudeは過去の学習データだけで答えてしまうので、古いリストが返ってきます。

ステップ2:返ってきたリストの発信者を、Xで実際にフォローして、自分の目でSNSを覗きます。

通勤電車でパラパラと見るくらいの感覚です。

XとYouTubeの両方を見ます。

Xも早いですが、YouTubeも新機能のリリース翌日に解説動画を出す発信者が多いです。

むしろ、リリース翌日に動画を出すことに注力しているような発信者もいます。

感覚的にはほぼ同時ですが、拡散力はXの方が強いため、話題としてはX上で目立ちやすくなります。

月に何時間もかける作業ではなく、毎日5〜10分の習慣として組み込みます。

第2章の図版23

フォローリストの実名開示は控えます

このフローを書くと、「で、具体的に誰をフォローしているの?」と聞きたくなると思います。

本編では、私が今フォローしている方の実名一覧を、固定リストとしては出しません。

理由は、発信者の入れ替わりが、相当に早いからです。

半年前に最前線だった方が、今は別のテーマへ移っていることもあります。

逆に、昨日まで無名だった方が、新しいツールの検証で一気に存在感を出すこともあります。

だから、本編では「古くなる実名リスト」を渡すことは控えます。

(そもそも皆さんと書くジャンルも異なりますからね)

お伝えしたいのは、自分でトレンドメーカーリストを作り、入れ替え続けることが重要だということです。

誰をウォッチするか、誰の発信を信頼するか、誰の情報を割り引いて受け取るか。

この判断を、自分の手で積み重ねていくことが、マーケ部の編集長としての腕を磨くことに直結します。

私のリストをそのまま受け取るより、ご自身のリストを育てる過程そのものに、価値があります。

なので、「調査部のClaudeに聞いてリストを作る」というフローまでをお伝えして、あとはご自身のリストを育てていただくのが良いと考えています。

テーマ候補が立ったら、スマートニュースで「具体性」を確認する

SNSを覗いていて、「これはテーマとして書けるかも」と引っかかるものが出てきたら、次にやることがあります。

SmartNewsやYahoo!ニュース、Googleニュースなどのニュースアプリで、そのキーワードを検索します。

大事なのはどのアプリか、ではなく、出てくる記事の具体性です。

たとえば、ClaudeCoworkで会社の業務効率化、というテーマで本を書こうと考えた時。

ニュースアプリに「ClaudeCowork 業務効率化」と打ち込んで、出てくる記事をざっと読みます。

見るのは、記事の「具体性」のレベルです。

ある時期までは、「AI便利」「ClaudeCoworkすごい」みたいな、抽象的な記事ばかりがヒットします。

この段階では、まだ一部の感度が高い人たちの話題に留まっている可能性があります。

そこから少し時間が経つと、「実際にClaudeCoworkを使って業務を3週間自動化してみた」「会社の経理業務でClaudeCoworkを試した結果」のような、具体的な「やってみた」系の記事がヒットするようになります。

ここが、テーマが一般読者の生活や仕事に入り始めたサインです。

ここで初めて、「このテーマはMTIVのMを通過できるかもしれない」と判断します。

ただし、実際に書くかどうかは、この後のT・I・Vまで見て決めます。

めちゃくちゃアナログな方法です。

でも、SNSの熱量と、記事の具体性の両方を見ることで、「波が来ている」と「市場の準備ができている」を同時に確認できます。

そして、私がここで本当に見ているのは、情報そのものではありません。

「どの情報が、Kindle読者の検索語に変わりそうか」を見ています。

2-2節でお伝えした「Kindle市場は検索される悩みでできている」が、ここでの判断の軸になります。

SNSの熱とニュースアプリなどのWeb記事の具体性を両方見ることで、その熱が読者の検索語に変わるタイミングが、少しずつ見えるようになります。

第2章の図版24

インフルエンサーの「ポジショントーク」を見抜く目を持つ

ただし、SNSを覗く時に、気をつけることがあります。

インフルエンサーの発信には、少なからずポジショントークが含まれます。

(しているように、私には見えています)

補足しておくと、ポジショントーク自体が悪いわけではありません。

発信者には、それぞれの事業や収益構造があります。

立場があるから、ポジションを踏まえた発信をすることは、ある意味当然です。

ただ、編集長として見る時は、「この人は何を売るために、この情報を出しているのか」を一度考える必要があります。

特に、Xの発信は、商材を買わせたい発信が多い印象です。

「これすごい」と紹介されているツールが、よく見ると自分のアフィリエイトリンクの先にある、というケースは珍しくありません。

情報自体が嘘というわけではないのですが、ポジションがかかった褒め方は、編集長として割り引いて受け取る必要があります。

noteやYouTubeにも、商材誘導目的の発信者は同じく存在します。

プラットフォームで一律に決まる話ではなく、発信者ひとりひとりを見ていく必要があります。

そのうえで、どのプラットフォームにも、「役立つ情報は無料で提供しよう」という矜持を持って動いている発信者はいます。

その方々の発信は、情報の質が高い。

このピュアな発信者に当たりをつけておくのが、マーケ部部長としての大事な仕事だと思っています。

「この発信者は、何を売るために、この情報を出しているのか」を考える癖をつけると、ポジショントークと、本当に有益な発信が、見分けやすくなります。

第2章の図版25

プラットフォームの「構造差」を意識して、無料で質の高い情報を取る

ここまで読んで、ふと気づくかもしれません。

「なぜ、ピュアに有益な情報を、わざわざ無料で出す人がいるのか?」

答えは、プラットフォームの「マネタイズ構造」にあります。

YouTubeは、動画再生数でマネタイズする仕組みです。

だから、視聴回数を稼ぐために、情報を出し惜しみしない発信者が多い。

「ここからは有料」とは言わず、最後まで見せきる構造です。

(最近は有料メンバーシップの仕組みもありますが)

Xにも、インプレッション(表示回数)で報酬が出る仕組みがあります。

だから、長文投稿で有益な情報を出し切る発信者がいます。

2〜3万文字の長文を、無料で公開している方も珍しくありません。

逆に、Brain、コンサル、noteの有料メンバーシップに誘導したい発信者は、情報の「核心」の手前で寸止めします。

寸止めしないと、有料商品が売れないからです。

ここに、プラットフォームの「構造差」があります。

寸止めされた情報の中には、別のプラットフォームで無料で手に入るものが、けっこうな確率で存在します。

たとえば、有料教材で扱われている基礎概念と近い内容が、別の発信者のYouTubeや公式資料で無料公開されていることもあります。

あるいは、Kindle Unlimitedで読める基礎概念が、別の場所で5万円の情報商材として売られている。

これは、コンテンツの質の差というより、プラットフォームのマネタイズ構造の差だと考えています。

編集長として大事なのは、「情報の質は、プラットフォームのマネタイズ構造に左右される」と知っておくこと。

そして、各プラットフォームの「構造差」を意識して、公開情報の中から、公式発表のような一次情報と、実践者による質の高い検証情報を拾うことです。

ここで1つ補足しておくと、ここでいう「構造差」とは、不正な抜け道のことではありません。

プラットフォームごとのマネタイズ構造の違いによって、情報の出方に差が生まれる、という意味です。

もちろん、必要な本や教材には投資します。

私自身、インプットにはお金を使っています。

第4章「Input」では、Brain購入や書籍購入をどう判断するかにも触れます。

ただし、市場の熱を読むために、毎回高額な情報商材を買う必要はありません。

無料で公開されている情報の中にも、公式発表のような一次情報や、実践者本人による一次性の高い検証情報はあります。

大事なのは、それを拾う目を持つことです。

第2章の図版26

シンプルなことを、定期的に繰り返す

ここまで、私が普段やっているマーケティングのフローを開いてきました。

調査部のClaudeに、トレンドメーカー候補を出してもらう。

自分の目でXとYouTubeを覗く。

Web記事収集サイトやニュースアプリで、テーマがどれくらい具体的な記事になっているかを見る。

発信者のポジショントークを割り引く。

プラットフォームごとのマネタイズ構造を意識して、公開情報の中から質の高い一次情報を拾う。

やっていることは、かなり地味です。

新しいツールも、複雑な仕組みもありません。

でも、この地味な観察を毎日15〜30分続けることで、「いま書くべきテーマ」と「まだ早いテーマ」の違いが、少しずつ見えるようになります。

(私は通勤時間をこの作業に充てることが多いです)

これが、1-5節で扱った「朝のマーケ会議」の実務です。

次の節では、このマーケティングを含めた判断プロセスの全体像をお伝えします。

書くか書かないか、どのタイミングで決めるのか、という話です。

2-6. 書くか書かないかは、MTIVのどこかで止まる

MTIVSの全部を見てから判断する、わけではない

ここまで、MTIVS(Marketing・Targeting・Input・Value Proposition・Speed Writing)という5段階のフレームを提示してきました。

書くか書かないかの最終判断は、MTIVSの全部を順番に見てから下すわけではありません。

実態は、MTIVの4段階のゲートのどこかで止まる、という構造です。

S(Speed Writing)は判断対象ではなく、書くと決まった後の実行段階。

だから、刊行判断は「MTIV」の4段階で完結します。

書く前のチェック項目を、改めて並べておきます。

M(Marketing):市場の波が来ているか、検索される悩みになっているか

T(Targeting):自分の旗(ブランド軸)と相性が合うか

I(Input):書く前に必要な情報が、自分の手元に集まりそうか

V(Value Proposition):自分にしか書けない切り口が、言語化できるか

このどこかで止まると、「今は書かない」「いったん保留する」という判断になります。

完全に諦める、という意味ではありません。

Mが整えば進めることもありますし、Vが言語化できれば、後から書けることもあります。

編集長の仕事は、書きたい気持ちだけで進めることではなく、「今このタイミングで出すべきか」を判断することです。

第2章の図版27

T(Targeting)とI(Input)で止まることは、ほぼない

私の実運用では、止まる時の大半が、MかV、どちらかです。

Tは、自分の旗(ブランド軸)が固まっていれば、新しいテーマでも「これは旗に乗る/乗らない」が早めに判断できます。

第3章「Targeting」で深く扱いますが、ブランド軸を一度立てると、Tの判定は早くなります。

Iは、書く前に必要な情報を集める作業なので、執筆部の前に動かせば実行できる前提です。

第4章「Input」で具体的に扱います。

ただ、ゼロではありません。

Tで止まることが、稀にあるのは、テーマが自分のブランディングを濁らせる時。

2-4節で書いた占い系のケースが、これに近いです。

AI×Kindle出版という旗の中に、占い師という顔が混ざると、専門性が見えにくくなる。

Iで止まることが、稀にあるのは、書く前に必要な一次情報が、自分の手の届く範囲で集まらない時。

テーマが新しすぎて、ベンチマークできる先例がない、というケースです。

頻度としては低いですが、TとIにもゲートはある、と頭に入れておくと、判断の解像度が上がります。

ただし、これはあくまで私の実運用の話です。

読者の方が、最初にこの4段階ゲートを使う時は、TやIで止まることも普通にあるかもしれません。

自分の旗がまだ曖昧なら、Tで止まります。

必要な情報にたどり着けないなら、Iで止まります。

それは失敗ではなく、「今どこを整えるべきか」が見えたということです。

Tで止まったなら、第3章「Targeting」で旗を整える。

Iで止まったなら、第4章「Input」でインプット動線を整える。

本編の後半は、そのための章として書いています。

第2章の図版28

M(Marketing)で止まる時:まだ早い、またはもう遅いと感じた時

Mで止まる時は、2-2〜2-5節で扱った市場観察で「まだ早い」「もう遅い」と判断する時です。

「Xでは盛り上がっているけど、ニュースアプリなどの記事がまだ抽象的」

「具体的なやってみた記事が出てきたけど、Kindle読者の検索語にまだ変換されていない」

「すでに類書が出揃っていて、後発の不利が大きい」

こういう時、Mで止まります。

このタイミングを外して書き始めると、出版しても読まれない本になります。

だから、Mで止まることは、編集長として大事な判断です。

これだけでも、外す本の数は減らせます。

第2章の図版29

V(Value Proposition)で止まる時:自分にしか書けない切り口が言語化できなかった時

私の実感として、止まる頻度がいちばん高いのが、Vです。

Mを通過しても、Vで「自分にしか書けない切り口」が言語化できないと、私は書きません。

AIに聞けば誰でも同じ答えが出せるテーマで、私が書く意味がなければ、出版しないという判断です。

ここを甘くすると、「AI臭い本」が並ぶ本棚になります。

1-6節で書いた「速く作るほど、誠実さが必要になる」というメッセージと、地続きの話です。

第2章の図版30

NotebookLMの続編を、出さないと決めた話

具体例を、1つ。

NotebookLMの続編を書きたい、と思った時期がありました。

この本はそれなりに読まれていたので、続編で深掘りすれば、もう一段読まれる可能性が十分あると感じていました。

Mのチェックは通過しました。

NotebookLMはまだ市場の熱が続いていて、検索される悩みもありそうでした。

Tも問題ありませんでした。

AI×Kindle出版という私の旗の中に、十分収まるテーマでした。

Iも、必要な情報は揃っていました。

でも、Vで止まりました。

価値設計部のClaudeと議論しても、「自分にしか書けない切り口」が出てこなかったんです。

「前作以上の価値を自分の中で言語化できない」と判断したのです。

ただ便利な新機能を紹介するだけなら、XやYouTubeの速報で足ります。

Kindle本として出すなら、読者が読み終えたあとに見える景色を、もう一段変える必要があります。

そこが見えなかったので、このタイミングでは一度止めました。

「もう一段、深い切り口が言語化できたら出すけど、今はまだ出さない」と決めました。

もし将来、NotebookLM続編が私の本棚に並ぶことがあれば、「Vを乗り越えられたんだな」と思って読んでいただければ幸いです。

書かない判断も、編集長の大切な仕事です。

次の節では、この判断を支えるマーケ部のClaudeプロジェクトの作り方をお伝えして、第2章を締めくくります。

第2章の図版31

2-7. マーケ部Claudeプロジェクトの作り方

まず、Claudeプロジェクトを作る

ここまで、2-1〜2-6で「編集長としてのマーケ判断」を、思想から実例まで開いてきました。

最後に、これを実際にClaudeプロジェクトとして動かす話を渡します。

Claudeプロジェクトは、特定の仕事ごとにClaudeとの会話や資料をまとめておける作業部屋のようなものです。

作り方はシンプルです。

Claudeの画面でProjectsを開き、新しいプロジェクトを作成します。

そこに、自分の作家プロフィール、出版方針、過去原稿、判断基準などを入れていきます。

本節では、画面操作そのものではなく、マーケ部として機能させるために何を入れるかを扱います。

Claudeのプロジェクトに入れる2つの指示

Claudeプロジェクトで主に使うのは、『プロジェクト知識』と『プロジェクト指示』です。

プロジェクト知識には、作家プロフィール、過去原稿、出版方針、判断基準などの固定情報を入れます。

プロジェクト指示には、Claudeにどんな立場で議論してほしいか、どんな判断基準を守ってほしいかを書きます。

本Brainでは分かりやすくするために、固定情報を入れる場所を『メモリ』、Claudeの動き方を定義するものを『スキル』と呼んで説明します。

ただし、Claudeの画面上の名称や仕様は変わることがあります。

実際に設定するときは、お使いのClaudeの表示に合わせて読み替えてください。

書き込む場所は、この2つだけです。

Claudeにどんな立場で議論してほしいか、という指示も、メモリの中に書き込みます。

私の場合はAIやKindle出版に関連する書籍が多いので、その前提で読み進めてください。

このまま真似るというよりは、このような書き方があるのだな、と理解した上で、あなたのテーマに沿って少しずつ作り替えて、作り込んで頂ければと思います。

第2章の図版32

最初に、自分のKindle本を全部ClaudeCoworkに読ませる

メモリとスキルに貼り付ける作業の前に、私が毎回やっている工程をお伝えします。

それは、自分のKindle本を全部、ClaudeCowork(Claudeのデスクトップアプリ)に読み込ませる、という工程です。

本編では、Claudeのデスクトップアプリを使った作業環境を、便宜上「ClaudeCowork」と呼びます。

ClaudeCoworkは、フォルダ単位でファイルを読み込んで議論できる機能を持っています。

これを使って、マーケ部のClaudeに自分の本棚全体を把握してもらいます。

具体的な手順は、こうです。

(フォルダ連携の画面や手順は、Claude側の仕様変更によって変わることがあります)

1. パソコン上に「自分のKindle本」のような名前で、新しいフォルダを作る

2. 出版済みの本の原稿の「コピー」を、そのフォルダに全部入れる(元の原稿ファイルそのものを入れるのではなく、必ずコピーを入れる)

3. ClaudeCoworkを開いて、マーケ部のプロジェクトに入る

4. Claudeに「このフォルダを読み込みたいので、アクセス権をリクエストして」と頼む

5. Claudeがフォルダアクセスのリクエストを出してくれるので、フォルダを指定する

これで、マーケ部のClaudeが、少なくともその会話の中で、フォルダ内の原稿を参照しながら議論できる状態になります。

一度読ませたから永久に覚えてくれる、というより、議論のたびに必要な原稿を参照できる状態を作るイメージです。

ステップ2で「コピーを入れる」のは、めちゃくちゃ大事です。

念のため、元原稿ではなくコピーを入れるようにしています。

AIツールや連携環境を使う時は、元データを直接触らせない。

これは、原稿管理の基本ルールにしておくと安心です。

文体の癖、扱ってきたテーマの傾向、シリーズ化の流れ、過去に外したテーマ。

これらを、議論の前提として参照できる状態にしておく。

これが、新刊を出すたびにフォルダに最新原稿を追加する理由です。

ただし、最初から全冊を読み込ませる必要はありません。

冊数が多い方や、ファイル整理がまだできていない方は、まずは代表的な3〜5冊だけで大丈夫です。

主力本、長く読まれている本、ブランドを作っている本、そして外した本。

この4種類が入っていれば、Claudeは本棚の輪郭をつかみやすくなります。

それから、ClaudeCoworkやフォルダ連携が使えない方は、無理に同じ環境を作らなくても大丈夫です。

まずは代表作3〜5冊の原稿を、テキストやPDFでClaudeプロジェクトに直接アップロードする形でも構いません。

(Claudeチャットに原稿を放り込む形でも、ほぼ同じようなことはできます)

大事なのは、Claudeに自分の本棚の実物を読ませること。

方法は、ご自身の環境に合わせて調整してください。

私は新刊を出すたびに、このフォルダに最新の原稿のコピーを追加して、マーケ部のClaudeに「最新の原稿を読み込んでおいて」と渡します。

これで、本棚の現状が議論のたびに参照できる状態を保ちます。

「まだ1冊も出していない」という方は、この工程は飛ばしてOKです。

1冊目を出したタイミングで、フォルダを作って読み込ませる流れに乗せていきます。

ここから、マーケ部のClaudeに渡す戦略ドキュメントを、具体的にお伝えします。

第2章の図版33

マーケ部のClaudeに渡す、戦略ドキュメント

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※このBrainで紹介するプロンプトについて、大事なことをお伝えします。

ご自身のPC環境やAIの使い込み度合いによって、アウトプットにはバラ付きが出ると思われます。ですので、具体的なプロンプトの文言そのものではなく、『なぜそのプロンプトを入れているのか』という観点に着眼して読み進めていただければと思います。

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以下が、マーケ部Claudeプロジェクトに渡す戦略ドキュメントの全文です。

新しくClaudeプロジェクトを作って、最初のチャットにこのドキュメントを貼り付けたうえで、「この内容を、今後このプロジェクトでの議論の前提として扱ってください」と伝える運用が、私の体感では安定しています。

プロジェクト機能やメモリ機能の仕様は変わることがあるので、お使いのAIに合わせて、最適な持ち運び方を見つけてください。

ご自身の状況に合わせて、( )の中を埋めて、まるごとコピペして使ってください。

冒頭の「このプロジェクトで使う概念の定義」セクションは、書籍を読んでいないClaudeでも、このBrainで扱った枠組みで議論できるように、用語の定義をまとめたものです。

このセクションは、そのまま残しておいてください。

時間がない方は、まずこの3つだけ入れてください。

・作家プロフィール

・本の3分類(波に乗る本/長く読まれる本/ブランドを作る本)の説明

・Claudeへの期待(議論の立場)

ここまで入れるだけでも、何も入れていないClaudeより、議論の質は一段上がります。

残りの項目は、徐々に埋めていけば大丈夫です。

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【このプロジェクトで使う概念の定義】

このプロジェクトでは、以下の概念を使って議論する。

各概念は、書籍『AI×Kindle出版 月50万円ロードマップ』で扱ったフレームに基づいている。

■ 本の3分類(書く前に意識する役割)

・波に乗る本:新技術や新トレンドの初速を取りに行く本。

寿命は短めだが、出版直後の数週間〜数ヶ月で大きな印税が立つ可能性がある。

・長く読まれる本:普遍テーマを扱う本。

爆発力はないが、検索で長く拾われ続け、月単位で安定した印税を生む。

・ブランドを作る本:思想や体験を扱う本。

直接の売上目的というより、著者ブランドを深め、本棚全体の信頼度を上げる役割。

■ 4層の本棚(書いた後に現れる売上規模)

・主力群:月10万円超を生む本(1〜2冊あれば本棚を引っ張る)

・中堅群:月3〜7万円を生む本(屋台骨)

・ロングテール群:月数千円〜3万円を生む本(土台)

・KDPセレクトボーナス:上記とは別に、Amazonから月単位で支給される報酬

書く前の3分類は編集長として選べるが、書いた後にどの層に収まるかは市場とタイミング次第。

両者は別軸。

■ MTIVの4段階ゲート(書くか書かないかの判断)

書くか書かないかの最終判断は、以下のMTIV4段階で見る。

どれかで止まったら、「今は書かない」「いったん保留」と判断する(完全に諦める意味ではない)。

M(Marketing):市場の波が来ているか、検索される悩みになっているか

T(Targeting):自分のブランドや書く方針との相性が合うか

I(Input):書く前に必要な情報が、自分の手元に集まりそうか

V(Value Proposition):自分にしか書けない切り口が、言語化できるか

Tはブランド軸が固まっていれば、Iは情報収集動線が整っていれば、止まることは少ない。

止まりやすいのはMとV。

■ Kindle市場の特性

・Kindle市場は「検索される悩み」でできている。

Xでバズっているテーマが、そのままKindleで読まれるとは限らない。

・トレンドは短期の熱、市場は長期の構造。

両者は時間軸が違う。

【作家プロフィール】

メイン名義:(あなたの作家名)

ジャンル:(あなたが主に書くジャンル)

出版頻度:(週1冊/月1冊/不定期など、自分のペース)

メインペルソナ:(あなたが届けたい読者像)

ペルソナから外れるテーマ:(書かないと決めているテーマ、その理由)

【現状実績】

直近の月印税:(金額。まだ実績がなければ空欄でも構いません)

売上構成:(KU/電子書籍/ペーパーバックの比率。

KDPの売上画面のスクショを貼り付けてもOK)

直近のトップ書籍ベンチマーク:(売上上位の本の書名と印税レンジ)

【目標】

次の1年の月収目標:(金額)

本棚の構成目標:(波に乗る本/長く読まれる本/ブランドを作る本、それぞれ何冊くらい持ちたいか)

【Kindle出版方針】

価格戦略:(99円固定/250円/500円など)

コンテンツ三層運用:

主軸シリーズ:(メインで伸ばすジャンル)

準主軸シリーズ:(メルマガ登録や認知拡大の動機になるジャンル)

スパイス:(読者層拡大のための実験的なジャンル)

【編集判断の評価軸(MTIV4段階ゲート)】

書くか書かないかの判断は、以下のMTIV4段階で見る。

どれかの段階で止まったら、「今は書かない」「いったん保留する」と判断する(完全に諦める意味ではない)。

M(Marketing):市場の波が来ているか、検索される悩みになっているか

T(Targeting):自分のブランドや書く方針との相性が合うか

I(Input):書く前に必要な情報が、自分の手元に集まりそうか

V(Value Proposition):自分にしか書けない切り口が、言語化できるか

加えて、以下も毎回確認する。

・マジョリティに届くか(自分の感度が高すぎないか)

・シュリンクしない市場か

・制作スピードと自分の健康のバランス

・既存ラインナップとのカニバリゼーション/シナジー

・キーワード設計が成立するか(タイトル先頭にブランド/差別化ワードを置けるか)

・シリーズ化の可能性があるか

【運用上の制約・指針】

・健康第一、出版頻度は無理しない範囲で。

・「最高品質のテーマを選ぶ」が経営思想、テーマを最初から決めず、書きたいと思った瞬間に評価軸でフィルタする。

【Claudeへの期待(議論の立場)】

・過剰に肯定しない、叩き台への異論はむしろ歓迎する

・データなき楽観的推測を禁止する

・自分が決めた原則と矛盾する判断には、はっきりNGを出す

・過去の成功パターンに過剰適合せず、新しい市場機会の見落としも指摘する

・直感は尊重するが、「直感だから」で評価軸スキップは認めない

・異論は具体的根拠とセットで出す

・健康・無理を察知したら、「今週は休もう」と提案する権利を持つ

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以上です。

このドキュメントを、マーケ部Claudeプロジェクトの最初のチャットに貼り付けて、「この内容を、今後の議論の前提として扱ってください」と伝えれば、Claudeは「自分がどういう作家のマーケ担当として動いているか」を理解した状態で、議論を始めてくれます。

あなたが「次のテーマ候補を出してみて」と聞いた時に、あなたのブランドに乗るテーマを返してくれやすくなります。

「これ書きたい」と言った時に、「ペルソナから外れていませんか」「マジョリティに届きますか」とサニティチェックを返してくれる場面も、増えてきます。

この前提ドキュメントがないと、Claudeは「初対面のコンサル」になってしまいます。

毎回ゼロから前提を説明する必要があり、議論の質も上がりにくいです。

マーケ部のスキルに、そのまま貼り付ける

スキルの方も、コピペできる形でお渡しします。

以下を、マーケ部Claudeプロジェクトのスキル枠に、まるごと貼り付けてください。

1つだけ補足です。

このスキルは、私のメインジャンル(AI関連)に合わせて書いてあります。

トリガー文言と情報ソースの優先順位は、ご自身のメインジャンルに合わせて書き換えてください。

「型」として大事なのは、「必ずWeb検索を通す」「直近3ヶ月以内に絞る」「ソースリンクを必ず添える」「学習データだけで答えさせない」という4点です。

ご自身のテーマが、英語学習でも、子育てでも、家計管理でも、この4点を守ることで、スキルの本質的な効果は同じです。

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【スキル名】最新トレンド調査・市場観察(AI関連の場合の例)

【トリガー】

最新トレンド調査・市場観察・テーマの壁打ちに使うスキル。

「AIのトレンド教えて」「○○について書きたいけどどう思う?」「○○のネタ探して」「最近のAI界隈で話題になってること」「○○について調べて」など、情報収集・調査・執筆ネタの相談が発生した場面で必ずトリガーする。

AI・LLM・生成AI・プロンプト・自動化・副業AI活用など、自分のメインジャンルに関わるトピック全般が対象(メインジャンルが違う方は、ここを書き換えてください)。

【絶対ルール】

1. このスキルが発動した回答では、検索を必須とする

このスキルが発動した回答では、必ずWeb検索してから回答すること。

特に、最新トレンド、市場観察、テーマ候補、競合状況、AIツールの仕様に関する相談では、Claudeの学習データだけで推測して返すことを禁止する。

「もっともらしいが事実でない情報」の生成は絶対NG。

2. 情報の鮮度:直近3ヶ月に絞る

AIの情報はトレンドの移り変わりが非常に速い。

・検索クエリに年月を含める(例:「Claude 2026」「AI agent 2026」)

・検索結果の日付を確認し、3ヶ月以上前の情報は原則除外する

・3ヶ月以上前の情報を使う場合は「※これは○月の情報です」と明記する

・現在の日付を常に意識する

3. ソースリンクを必ずつける

・各トピックの出典URLを明記する

・可能な限り一次情報源(公式ブログ、プレスリリース、論文)を優先する

・SEO記事やアフィリエイト記事より、公式発表・テック系メディアの報道を優先する

4. 検索の規模感

依頼の種類に応じて検索回数を調整する。

・単発の事実確認:1〜2回

・特定トピックの深掘り:3〜5回

・トレンド全体の俯瞰・ネタ出し:5〜10回(複数の切り口で検索する)

【情報源は、目的ごとに分けて見る】

情報源を、目的別に4分類で扱う。

・事実確認:公式ブログ、プレスリリース、テック系メディア、論文(一次情報源を優先)

・熱量確認:YouTube、個人ブログ、note(Xの熱量については、別途Grokで観察した結果をユーザーから投入してもらう。

ClaudeからはXに直接アクセスできない)

・一般化確認:ニュースアプリ、ニュースメディア、一般向け解説記事(テーマが一般読者の生活や仕事に入り始めたサインを見る)

・Kindle化判断:Amazon検索、類書、レビュー、読者の悩みの言葉。

ただし、Amazon上の検索結果やレビューは、Claudeが直接うまく取得できない場合もあるため、自分で確認したスクショ、URL、レビュー文の要約、類書リストをユーザー側から投入する。

【出力の最後に必ず添える3点】

最後に必ず、以下の3点を出す。

1. このトレンドは、Kindle読者のどんな悩みに変換できるか

2. Amazonで検索されそうな言葉にすると、どんなキーワードになるか

3. 今すぐ書くべきか、まだ待つべきか、その理由

この3点を必ず出すことで、単なる「最新情報リサーチ」ではなく、「Kindle出版のマーケ部」として機能する。

【出力フォーマット】

・会話的なトーンで返す(レポート形式にしない)

・箇条書きや太字の多用は避け、自然な文章で書く

・ただし、複数トピックを並べるネタ出しの場合のみ、簡潔なリスト形式を許容する

・出典URLは各トピックの末尾にまとめる

・出力の最後に、上記の3点(読者の悩み/検索キーワード/書くタイミング)を必ず添える

【やってはいけないこと】

・検索せずに回答すること(最重要NG)

・3ヶ月以上前の情報を、古いと明記せずに返すこと

・出典URLを省略すること

・「たぶんこうだと思います」のような推測ベースの回答(検索で裏を取れない場合は「検索結果では確認できませんでした」と正直に言う)

・1つの検索結果だけで断定すること(重要なトピックは複数ソースで確認する)

・著作権に違反する長文の引用(要約・パラフレーズで返す)

・最新情報リサーチで終わること(必ず「Kindle読者の検索語に変換」「書くタイミングの判断」まで進める)

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このスキルが入っていると、マーケ部のClaudeに「最近のAIトレンドを教えて」と聞いただけで、必ずWeb検索を通して、直近3ヶ月以内の情報を、出典つきで返してくれます。

このスキルがないと、Claudeは学習データの中の古い情報で答えてしまう場面が多くなります。

AI業界のように変化の速い領域では、これは致命的です。

MTIVは行ったり来たりする

最後に。

MTIVSは、綺麗に直列で進むわけではありません。

私の実運用としては、I(Input)はやや独立した動きをしていますが、M(Marketing)とT(Targeting)とV(Value Proposition)は混ざりがちです。

マーケ部の議論で、いつのまにかTの話(自分のブランド軸との相性)に入っていることもありますし、V(価値設計部)で詰まって、マーケ部に戻って「そもそも市場の判定が甘かったのでは」と問い直すこともあります。

つまり、実態は「行ったり来たり」です。

なので、5部署をきっちり分けて、毎回直列で進める必要はありません。

冒頭の方で述べた通り、読者の方も、最初は無理に5部署を作ろうとせず、まずはマーケ部から立ち上げ、商品企画部・調査部・価値設計部・執筆部は各章を読みながら、必要に応じて1つずつ追加していく流れで大丈夫です。

1-2節で書いた「最初から5部署すべてを完璧に作る必要はありません」が、ここでも前提になります。

実践していく中で、あなたの場合はMTIVを同じ部署に統合した方が良いと思うこともあるかもしれませんし、MとTだけ一緒にして、IとVはそれぞれ分ける、という運用になるかもしれません。

5つの概念を個別に理解した上で、自分が一番使いやすいと思う型に収斂して行けば良いと思っています。

ただ、Sは必然的にチャットが「長く」なりますから、S(執筆部)だけは分けて作った方が良い、というのが現時点の私の最適解です。

第2章の締めくくり

ここまで、第2章「Marketing:市場の波を捉える」を通して、編集長としてのマーケ判断を、思想から実装まで開いてきました。

要点を整理します。

第2章で押さえてほしいのは、次の6つです。

AIは、便利な検索エンジンではなく、編集部のメンバーとして扱う。

トレンドは熱、市場は構造として見る。

Kindle市場は、検索される悩みでできている。

本棚は、波に乗る本、長く読まれる本、ブランドを作る本で組む。

書くか書かないかは、MTIVのどこで止まるかで判断する。

マーケ部Claudeプロジェクトを作ることで、この判断を日常運用に落とす。

次の第3章では、「Targeting:自分の旗を立て、届ける相手を絞る」に進みます。

月50万円を目指すなら、何者かになる必要がある、という話です。

第2章の図版34